お口のシートベルトにマウスガードを!
歯や口の“守護神”スポーツがさらに楽しく
お口のシートベルト推進事業について、一般社団法人 十勝歯科医師会では2010年度から取り組みを開始し、スポーツ選手にマウスガードの着用を促していま す。マウスガードには歯の破損や歯の脱臼(抜けること)、あごの骨の骨折、口の中や口の周辺の裂傷といった外傷の予防、ダメージ軽減のほか、頭を安定させて脳や脊髄への衝撃を和らげる効果が認められています。
格闘家の歯をばっちりガード!しっかり噛みしめパワーもアップ
「マウスガードはスポーツ歯科で製作してもらいました。以前、既製品を使用していたときに感じた息苦しさはなく、ぴったりフィットしています、パンチやキックを放つ際、あごにしっかり力が入る感覚かあります。今はマウスガードなしでは不安ですね」とその効果を説明します。
自覚のない歯ぎしり、くいしばりなど噛み合わせバランスは大丈夫?
日常、口に力を入れる、歯を噛(か)みしめる行為というと、食事か、スポーツが思い起こされるところ。実はそれ以外にも、気付かぬうちに歯やあごに過度な力が加わっていて、さまざまな疾患を引き起こす可能性かあるといいます。
噛み合せ、子供の成長期が重要ポイント。早期発見で改善しやすく!
悪い形態の噛み合せを「不正咬合」と言います。遺伝的原因から日常生活においての何気ない動作など、実に多くの原因があります。噛み合せがもたらす生活への悪影響を提示しながら、改善方法を紹介していきます。
H24,Chai 11月号掲載(柳井先生のものです)
しっかり口を使い健康寿命延伸。口を育てるトレーニングを!
口は脳と直結していて、どこよりも感覚神経が多く、デリケートな場所です。その口の健康を害することは、社会性と生きる楽しさを失うことにつながります。
また、最近は常に口の半開き、口呼吸の子供も増えています。それらがもたらす悪影響と、改善策を紹介いたします。
H24,Chai 12月号掲載(和田先生のものです)
生活習慣、歯並びに影響!
頬づえや指しゃぶり、うつ伏せ寝など…長時間にわたる無理な姿勢の習慣がつくと、正しい歯並びが損なわれ、噛み合せが悪くなります。
何がどう影響するのでしょうか?自分や、家族の習慣を見直してみましょう。
H24.10.22十勝毎日新聞掲載(船津先生のものです)
お口のシードベルト「マウスガード」を使ってみよう
一般社団法人 十勝歯科医師会・スポーツマウスガード推進事業
スポーツマウスガードはスポーツ外傷から歯を守るだけでなく、力を発揮しやすい位置に下顎を誘導して噛む筋肉の負担を減らす効果もあります。実際に装着し体験してみましょう!
お口のシードベルト「マウスガードとは」
~part1~『スポーツと歯』
バランスの良い、いわゆる正しい噛み合わせは、スポーツの基本姿勢である直立姿勢時や歩行時の平衡バランスに非常に重要な意味を持つということ、さらにはスポーツにおける運動能力(スポーツパフォーマス)の向上にも間やすることがわかってきました。
トップアスリートといわれる選手は、歯と口の健康にとても気を使っています。第1回のWBCの日本監督で、世界のホームラン王としても知られる“王貞治さん”は選手時代、ボールを打つときに激しく歯を食いしばるため、奥歯がガタガタになってしまったというのはあまりにも有名な話です。
いざというときにしっかり力が出せるように、歯と口の健康管理を行うこともスポーツをするための大事な準備なのです。
スポーツを楽しむためには、先ずは歯と口の健康に心がけましょう。
スポーツではどの程度の人が歯や口にケガをしているでしょうか?
歯や口のケガの治療で歯科大学の付属病院や口腔外科を訪れた人のケガの原因の第一番目は交通事故ですが、スポーツ外傷は三番目に入っており、その割合も10人に1人でした。 さらにどんなスポーツでケガをしやすいのでしょうか?普通はラクビーやアメリカンフットボール、ボクシングあるいは格闘技のようなスポーツがイメージとして浮かぶと思います。このようなコンタクトスポーツ(相手と接触するスポーツ)でケガしやすいのは確かですが、実際には野球やバスケットでも、口や顔にケガをすることが多いのです。
スポーツによる外傷は最悪の場合、選手生命に影響を及ぼすことにもなりかねない、重大な問題の1つであることはいうまでもなく。スポーツ競技に参加する子供たちにおいても同様に重要な問題でもあります。
スポーツによる外傷は歯の破折、脱臼、脱落。そして歯を含めた周囲歯槽骨の骨折などが多く発生します。しかも、その多くは上顎前歯に発生しています。その他には、歯による頬粘膜や口唇の損傷なども含まれます。また、アゴの骨折、顎関節症頚椎損傷、脳震盪もあります。
このようなスポーツによる外傷で、歯を失わないためにもマウスガードを装着し、お口の健康を管理していきましょう。
東京歯科大学 スポーツ歯学研究室 教授 石上 惠一
~part2~『マウスガードってなに?』
スポーツをしていて、一度はお口をぶつけたことがあると思います。この時に口を切る、あるいは歯が欠ける、折れる、抜ける事があると思います。ひどい場合には、あごの骨を折ることもあります。
また、多くの場合に、思いっきり力をだすときにくいしばっています。
このときの力は、強い場合だと、自分の体重を超え100Kgにもなることがあるといわれます。この力により、歯がすり減る、歯が割れる、歯がぐらぐらになる、といったこともひきおこしてしまうことがあります。
このような障害、外傷からお口を守るのが「マウスガード」です。
マウスガードには、大きく分けて三つのタイプがあります。その1つは、スポーツ用品店などで市販のものを購入し、ただ口腔内に装着するタイプ(タイプⅠ)。ともう一つは、選手自身が説明書を見ながら成形するタイプ(タイプⅡ)、そして三つめが選手個人に対し、歯科医によって作られるカスタムメイドタイプ(タイプⅢ)があります。
マウスガードに必要な条件があります。
- 1.お口にピッタリあっていること。
- 2.適切な厚みがあること。
- 3.きちんとかみ合わせが合っていること。
市販のタイプは、安価であるが、適合性や形態が不良で適切な外傷予防効果が期待できません。また、使用感も悪く顎関節症にもなりかねません。
一方、カスタムメイドタイプのマウスガードは、適合性に優れるため、他のタイプに比べ違和感が少なく正しいアゴの位置や噛み合わせを付与できるということです。すなわち、きちんとスポーツによる外傷を予防するためにもやはり自分にあったカスタムメイドのマウスガードを是非歯科医院で作ってもらいましょう!
~part3~『本当に効果あるの?マウスガード』
1回目、2回目において、お口の健康管理もスポーツには大切であり、80才20本歯を残すためにも、スポーツによる外傷の予防が大切であることもわかっていただけたと思います。 では、最後に、マウスガードが本当に効果があるのか説明しましょう。
スポーツ外傷の発生頻度は男性が85%、女性が15%と男性に多く、年代別では10才代、20才代が多いことがわかっております。種目別では、調査により差があるものの、空手、柔道などの格闘技や、ラクビー、サッカー、バスケット、スキーで多いのは勿論ですが、野球も多いという報告もあります。
効果に関しては、どんどん普及してきているラクビーでの調査を紹介します。
1999年 関西ラグビーフットボール協会障害見舞金申請書より
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歯の外傷 |
下顎骨折 |
上顎骨折 |
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総数 |
13件 |
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装着の有無 |
有 |
無 |
有 |
無 |
有 |
無 |
受傷件数 |
1件 |
12件 |
3件 |
9件 |
2件 |
5件 |
*ただしマウスガードを装着しての受傷は全て既製のマウスガード
この例を見ても明らかですが、きちんと調整されたマウスガードはお口の外傷をかなり防ぐ、お口のシートベルトと言えるでしょう。
※ 図、表は東広島歯科医師会の旧HPより引用