21世紀は積極的な健康増進、より総合的な健康を目指す時代と考え『口腔機能と全身』をテーマにしました。
(一社)一般社団法人 十勝歯科医師会 口腔機能研究会
咀嚼は脂肪減に効果大
太るということは、体で消費するエネルギーに比べて、摂取するエネルギーの方が多くなって、その余分なエネルギーが脂肪として体に蓄えられている状態を言います。
従って、特別の病気がない限り、食べ過ぎ(エネルギーの過剰摂取)あるいは運動不足(エネルギーの消費不足)が肥満の原因になります。
食欲は、脳の視床下部にある摂食中枢と満腹中枢によって、摂取エネルギーと
消費エネルギーが平衡になるように調節されています。私たちがものをかんだときの刺激が視床下部に伝わると、脳のなかに神経性ヒスタミンという神経伝達物質が大量に分泌されて満腹中枢を刺激し、満腹感が脳に生まれるのです。空腹感や満腹感は脳で作られるのです。
肥満にならないためには、当然、満腹中枢を刺激し食欲を抑えなければなりません。
満腹中枢に信号が送られる時間は、咀嚼が行われてから約十分後です。つまり、
一回の食事にかける時間を20~30分程度にすれば、食べている間に神経性ヒスタミンが働いて、「腹八分目」に抑えられるわけです。
また、早食いの習慣によって失われていた味覚がよみがえり、食事が本来持っている充実感を取り戻すことができます。
また、咀嚼によって神経ヒスタミンの量が増えると、体を活動的にする交感神経が優位に働いて、体内にたまった脂肪の燃焼を促進します。さらに、脂肪を合成する酵素の働きを弱めたり、食物からとったブドウ糖を脂肪組織や筋肉に取り込ませにくくして脂肪化を防ぐ働きもあるのです。このように、よくかむ事は、・食べ過ぎを防ぎ、余分な脂肪をつくらない・脂肪を効率よく燃やす・脂肪の合成を抑えるーという三重の効果を導いてくれる理想的な減量法と言えるでしょう。