Q)フッ素ってどんなものなのでしょうか?
A)フッ素は特別なものではなく、昔から地球上にひろく分布する自然物で、空気中、雨水、川、岩石、植物などに含まれています。また、ほとんどすべての食べ物にふくまれていますが特に海産物、お茶に多く含まれています。
Q)私たちは毎日フッ素をとっていることになるんですか?
A)フッ素は成人の場合、体内に2.6g存在していて、カルシウム・マグネシウムなどとともに体にとって必要な栄養素といわれています。とりすぎもいけませんが、無いと困る微量元素です。
Q)フッ素は虫歯にいいと言われていますが、なぜむし歯の予防によいとわかったのですか?
A)1900年初頭、斑状歯といわれる歯が白くなるフッ素症の研究が歯科とフッ素の初めての出会いといわれています。その研究の中で斑状歯が現れる地域ではむし歯が少ないことがわかりました。その後、研究が進み、1930年に飲料水のフッ素濃度が1ppm以下の地域ではフッ素症が現れず、むし歯がほとんどできないことがわかりました。
1945年にアメリカで人工的に水道水にフッ素添加して以来、世界的にフッ素の応用が進み、1970年の調査では、フッ素をむし歯予防に応用した先進国ではむし歯は大幅に減少しました。
1999年、日本でもようやくフッ素の有効性と安全性を公式に表明し、普及活動開始しました。
Q)フッ素を歯に塗るとどうしてむし歯が予防できるのでしょうか?
A)それではまずむし歯はどうしてできるか少し復習しましょう。
口の中にはたくさんの細菌が住んでいますが、その中で糖分から歯にべっとりとつく歯垢と、酸をつくる細菌がむし歯をつくります。
食べたり飲んだりするとすぐむし歯の菌は糖分から酸を作り出し、歯垢が酸性になり、歯の表面かカルシウムが溶け出します。しかし、時間がたつと唾液の働きによって溶け出したカルシウムは歯に再びもどっていきますが、この時間がかなりかかります。これが一日中、繰り返されるわけですから、当然だらだら食べるとよくないことはわかりますね。
Q)ながら食べ・・・ですか?なかなかやめられませんよね?
A)良くありませんよ!フッ素の効果としてはまず、歯の質を強くして、むし歯菌の作る酸に溶けにくくすること、それから溶け出したカルシウムを歯に再び戻す手伝いをすること、さらにむし歯菌に作用して酸を作らせないようにする効果があります。
Q)それではフッ素を塗っていれば歯を磨かなくても良いのですか?
A)そういう訳にはいかないところが難しいところです。
むし歯の原因の一番は歯垢ですから、ブラッシングできっちり歯垢を歯の表面から取ることが大切です。逆にもし、歯の表面に歯垢もむし歯菌もついていなければ糖分をとってもむし歯にならないかもしれません。
Q)先ほどフッ素による斑状歯の話がありましたがフッ素は安全なのですか??
A)フッ素で問題となるのは慢性中毒と急性中毒があります。
斑状歯は出生後、高濃度のフッ素を含んだ地下水を飲料水として摂取すると、白斑白濁の永久歯が生えて来る6~8歳頃に出現します。これが慢性中毒です。
また、すでに生えている歯がフッ素によって白濁することはありません。
急性中毒は大量のフッ素を一度に取ったときにおきますが、通常の歯科医院で行っているフッ素塗布では問題となりません。とりすぎが問題となるのは一般の医薬品と同じ考えで良いと思います。
Q)それでは、フッ素の塗り方について教えてください。
A)歯科医院で使うフッ素にはいろいろありますが代表的なものをあげておきます。
綿球塗布法、これはフッ素溶液を綿球に浸して塗る方法でもっとも一般的な方法です。
その他にはゲル状のフッ素を歯ブラシ、トレーを使って塗る方法や、イオン導入法といって電流を使った方法もあります。
年齢によって使用するフッ素の濃度や塗り方も変わります。
また、フッ素溶液ですすぐような方法もありますので歯科医院で相談するといいと思います。
Q)フッ素はいつ頃から塗ったらよいのですか?
A)歯が生えていればいつからでも良いのですが、一番良いのは歯が生えてきた直後が歯にフッ素が取り込みやすいので、歯が生えてくるたびに塗るのがよいことになります。具体的には、乳歯が生える1歳ころから永久歯が生えそろう13歳ころまで、半年おきに塗るのが理想的でしょう。
Q)フッ素は家庭でも使えますか?
A)代表的なものはやはり歯磨剤でしょう。現在、日本で販売されている歯磨剤の86%はフッ素が入っています。ただし、味をいやがる子やぶくぶくうがいができない年齢では歯磨剤以外のフッ素製品があります。うがいのできない子は低濃度のスプレー式の製品もよいでしょうし、年齢が上がってくればジェルタイプやフォームタイプの製品もありますので使いやすいものを選んであげましょう。
Q)フッ素は子供だけに効果があるのですか
A)フッ素はこれまでは子供のむし歯予防を対象にしてきましたが、現在では成人、および老年期のむし歯予防にも効果があることがわかっています。
フッ素は生涯を通じて有効なものです。ただし、むし歯予防はフッ素だけに頼るのではなく歯磨きで歯垢を取ることが基本であることは忘れないでください。