良い歯並び
良い歯並びとはすなわち、良い噛み合わせのことをいいます。 良い噛み合わせとは、噛んだ時に上下、前後で2~3mm重なり、中央の歯と歯の境目が上下合っていて(図左)、前の下の歯以外が上下互いに1本に2本が対応している噛み合わせ(図右)のことをいいます 。
悪い歯並び
悪い歯並びとは、受け口、開咬、交叉咬合、上顎前突、下顎前突、叢生などのことを指します。見た目の悪さだけでなく、噛み合わせそのものが悪い状態をいいます。
悪い歯並びのパターン例
でこぼこ(そうせい:叢生)
アゴの大きさと歯の大きさのバランスが悪いため、歯の生える場所が足りなくなり、デコボコの状態になっている。
過蓋咬合(かがいこうごう)
奥歯で噛むと、前歯が深く噛み込み、下の前歯がほとんど見えなくなるくらい閉じてしまう状態。
開口(かいこう)
口を閉じても、前歯や側方の歯が上下で噛み合わない状態。前歯で物が噛み切れない場合が多い。
受け口(反対咬合)
前歯はふつう、上が外側に出て下が内側になっている。その状態が反対になっているのが受け口。
出っ歯(上顎前突)
上の前歯が強く傾斜している場合と、上顎の骨自体が前に出すぎている場合の2種類がある。
上下顎前突
上下の両方の顎が出ていて、口元がふくれているような顔立ちをしています。
悪い歯並びが起こる原因
遺伝
歯の大きさや本数は遺伝によって決まっています。永久歯が足りない、あるいは多いという人は、早目の治療が必要になる場合もあります。
食べ方
やわらかいものばかりを食べるような食生活をしていると、アゴが十分に発達せず、その結果、歯の大きさとのバランスが悪くなり、凸凹ができやすくなります 。
癖
唾を飲む時に舌を突き出したり、指や爪を噛んだりする癖を続けていると、前歯がかみ合わなくなることがあります。
乳歯の虫歯
むし歯や他の原因によって、DやEが早期に喪失すると、6歳臼歯が、本来の位置より手前に生えてきてしまうため、凹凸ができやすくなります。
病気
幼児期に大きな病気をしたりすると、歯の一部に形成不全が起こることもあります。
口呼吸
正常な呼吸の方法は鼻呼吸ですが、口呼吸を続けていると口の中が乾燥して、病原菌に対する抵抗力が弱まるだけでなく、顔面の発育・成長にも悪影響を及ぼします。バランスのとれた顔面の成長に、鼻呼吸は欠か。
歯並び、かみ合わせの悪さで起こる弊害
むし歯
磨きにくい部分がむし歯になりやすい傾向にあります 。
歯周病
歯の磨きにくい部分に歯垢(しこう)や歯石が沈着し、そこに存在する細菌によって歯周病は引き起こされます 。
アゴの痛み
アゴが前後左右に動く時は、上下の犬歯から犬歯までの12本がガイドになっています。例えばひどい出っ歯などで、上下の前歯が当たらない人や開咬の人にはアゴの痛みや顎関節の雑音が生じ易い傾向があります 。
発音
歯と歯の隙間が大きい、あるいは歯が内側に倒れている場合など、正しい舌の動きができないため、発音がおかしくなることがあります。舌の動きが悪い舌強直症の場合にも発音が悪くなります 。
全身
噛み合わせは肩こりや腰痛、姿勢などとも深くかかわっていることが最近ではわかってきています。
精神
「21世紀は心の時代」と、生前SONY創業者の井深大さんがおっしゃっていました。20年以上前なら、物質的な豊かさを求める傾向が強かったかもしれませんが、今の時代は、「ちょっと気になる」ということが、非常に重要なことになりました。長い期間気になっていながらも、治療に踏み切れなかった方は医院の選び方などを参考にしていただき、QOLを向上させましょう 。
社会的評価
欧米では、歯並びや噛み合わせの良さは健康管理の一つと考えられており、大学進学者のほぼ全員が矯正治療経験者となっています。海外の人と接する機会が多くなった昨今、歯並びが悪いことによる人間関係の弊害も問われる時代になってきました。